12/22(水曜日)

絵画「涼風」の力

内閣審議官 T.K.

 

厳重な警備をパスして総理官邸に入られた方の多くは、広い玄関ホールとその正面奥の中庭の"竹林"にまずは驚かれる。その後、目的の部屋まで案内される折に、廊下に掲げられた絵画に目をうばわれる方もおられよう。実は、官邸の廊下や会議スペースには、優れた画家から素晴らしい絵画が貸出展示されており、年に何回か替えられていく。

 

官邸来訪者はどなたもが、一種の高揚感と緊張感を抱かれようが、こうした絵画を目にすると、意外感もあって、静かな美術館にご自身が紛れ込んだかのように一瞬思われるのではなかろうか。緊張をやわらげる仕掛けなのかもしれない。

 

さて、その中でも、私にとってお気に入りの絵画がある。それは総理室へ向かう途中に掲げられている。爽やかな高原の風景画、「涼風」(りょうふう)だ。総理室に入る時は、官邸スタッフもやはり緊張する。限られた時間の中で、総理の御了解や決断を得なくてはならない。総理の御了解が得られて初めて、行政としての最終決定となる。しかも、私が御判断を仰ぐのは人事案。人事という特殊性故、保秘が求められる上、何よりも候補者の一生を左右する。政権としての強いメッセージ性も帯びる。人材活用は国政運営上極めて重要な課題だけに、その説明資料はズシリと重い。"天性の勝負勘"と"類い稀なディベート力"を持ち味に、小さなグループから政界をしなやかに突き進んでこられた菅総理は、時に「修行僧」の表情で、スタッフの説明をじっくり聞かれる。そして、続く総理から発せられる言葉は、・・・・・。まさに緊張のピーク! その繰り返しだ。

 

総理室に入る直前に、徐々に高まる緊張感。でも、この絵画を目にすると、心に涼やかな風が吹き込むような感覚に襲われ、ホッとする。何故か?私事で恐縮だが、この絵画と同じ景色の中に確かに身をおいたという個人的体験があるからだろう。数年前の家族旅行で、レンタカーで蓼科を訪れた時の女神湖畔で。我が子の歓声とともに、この林に降り注ぐような陽光と涼風に包まれた記憶がまざまざと蘇る。一瞬とはいえ、あの高原に今もいるかのようだ。自分が、公務員・家庭人であり、自然を愛する一人の「日本人」であると、瞬時に意識させる「絵画の力」!
総理の御了解を得られ、プチ開放感を味わいながら総理室を出、再びこの絵画に接する時、「緑の輝き」が増すように感ずるのが不思議だ。

 

菅総理も、我々スタッフとは比べようもない"重圧"と毎日分刻みのキツイ日程の中で、入退室の度に、この爽やかな高原の陽光と涼風を感じ英気を養われながら、他方、社会の陽の当たらない場所で過ごされている方々の生活に思いを馳せて、「元気な日本」復活のため、この国の舵取りに邁進されておられるのだと思う。

 

P20101222

湯山俊久作『涼風』

 



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